≪「佐藤、鈴木、高橋、田中という苗字の友人がいる人はいますか?」
おそらくほぼ全員の方が手を挙げるだろう。
もうひとつ、質問。
「では、障害者といわれる友人がいる人はいますか?」
どうだろう。たぶん、一気に数が減るのではないだろうか。≫(36頁)
≪最初に挙げた4つの苗字は、「日本でいちばん多い苗字ベスト4」で、おおよそ660万人いるとされている(2013年12月、明治安田生命調べ)。これに対し、日本で障害者といわれる人の数は、およそ741万人(内閣府「障害者白書」2013年度版より)。これは、日本の人口の約6%にあたり、学校のクラスでいうと、一つの教室に2人程度の割合で何らかの障害を持った子がいることになる。≫(37頁)
写真にある、『意識をデザインする仕事』の中に書かれている一節だ。
これを見たとき、衝撃を受けた。
私の友人に障害者といわれる人がいないわけではない。
だけど、佐藤、鈴木、高橋、田中姓の友人に比べたら、少ない。日本にいる実際の人数は多いのに。
そして、私の障害者といわれる友人のほとんどは、私が怪我をしていた時に知り合った人だ。
すなわち、日本では、障害者と健常者の接点はほとんどないのが実情なのだ。
『意識をデザインする仕事』の著者は、ピープルデザイン研究所の代表である須藤シンジさん。
昨晩、著者の須藤さんを招いて『意識をデザインする仕事』を課題本とする読書会が武蔵小杉であったので、参加した。
ピープルデザインとは、簡単に言うと、「“心のバリアフリー”をクリエイティブに実現する思想や方法」のこと。設備的なバリアフリーだけではなく、意識面でもバリアフリーを実現するのを目的としている。
障害者と健常者の接点がない現状では、いくら設備面でバリアフリーがなされても、なお障害者と健常者は分離されたままとなる。本当に、それでいいのだろうか。
須藤さんを交えての読書会では、様々な気付きがあった。
一つは、ピープルデザインは「障害者のため」にやっているものではないということ。
例えば、須藤さんが最初に企画した、四肢に麻痺がある人や、片手が欠損していたり動かなかったりする人でも履けるスニーカーは、メインターゲットを健常者の若者としていた。そのため、デザインも、いわゆる福祉器具にあるようなものではなく、「格好いい」ものにしていた。そのうえ、販売するにあたって、障害者に対して特別扱いもしなかった。あくまで、健常者と障害者を同じく扱うようにしたのである。
障害者を特別扱いしてしまえば、結局それは健常者と分離したままになってしまう。そうではなくて、健常者も障害者も同じ場に出させ、混ぜ合わせなければ、心のバリアフリーにはつながらない。
だから、ピープルデザインのスニーカーを売る趣旨は、障害者のための製品をつくるのではなく、障害者に対してスニーカーを買うために街に出かけるという行為を促す点にあるのだ。障害者と健常者の交流を生み、心のバリアフリーを実現させるために。
「違いは個性。ハンディは可能性。」
ピープルデザイン活動のキャッチコピーだ。
あたりまえだけど、人はみんなそれぞれ違う。違うから、別の視点で新たな発見があったり、その人の得意分野で力を発揮することができたりすることにより、人の社会は発展してきたともいえる。
ハンディを抱えている人だって、それを克服していく過程で生み出されたものには価値がある。
障害がある人でも生活がしやすくなる商品というのは、たいてい健常者にとっても便利なものだ。
だから、ハンディに可能性はある。
ただ、健常者と障害者の接点を増やして心のバリアフリーを実現させようというピープルデザインには、不安もある。
接点を増やすことにより、かえって対立を招き、より一層の分離固定化がなされてしまうのではないだろうか(まあ、その不安をできるだけなくそうとするべく、ピープルデザインの方法として取ったのが、ファッションやスポーツ、イベントなんだとは思うけど。そして、ピープルデザインでその対立の原因となるバリアをなくそうとしているのだろうけど)。
たぶん、心のバリアを完全になくすことはできないと思う。だって、心のバリアは健常者と障害者との間だけにあるものではない。男女にだって、世代間にだって、はたまた親と子の身内間にだって、多少なりともあるものだから。
だけど、心のバリアを認識したうえで、相手を受容することはできるはずだ。その人の、ありのままを受け入れる。
健常者と障害者の関係には、おそらく唯一の正解があるわけではないだろう。
だけど、違いを認める。個性を尊重する。
そうしていけば、関係は良くなっていくはずだ。
いろいろ考えさせられることもあり、新たな発見もあった読書会だった。
そして、個性を認めることは、人権を尊重して仕事をすべき行政書士の心構えにも通ずるものがある。
ピープルデザインの考えを行政書士の仕事にも活かし、信頼される行政書士になっていきたい。
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