8月11日に書いたものの続きです。
(前回のはこちら【行政不服審査制度改正のポイント その1】)
今回は、行政不服審査制度改正で残っている課題についてです。
まずは、審理員について。
審理員は、審査庁に属する職員であり、完全な第三者ではありません(行政機関寄り)。
また、小規模な自治体では審理員を確保するのが困難であることが想定されます。
第三者機関についても課題はあります。
第三者機関たる行政不服審査会は、総務省に置かれる組織です。
もっとも、行政事件というのは他の省庁に跨るものが多く、総務省の機関である行政不服審査会が積極的に介入するのは困難だという指摘がなされています。結局、行政不服審査会は審査庁の審査に対して追認するのみで、有効に機能することはないとまで言われています。
また、行政の役割が肥大化した現代では、行政機関に対する不服も多岐に及んでおります。かかる不服の範囲をすべて網羅している人材というのは、そう多くいません。まして、小規模自治体となると、皆無といえそうです。そして、行政不服審査会が必要となるのは、国に対する案件よりも、地方自治体に対する案件である場合が多いのです(国の場合は特別法により、行政不服審査会によらない場合が多いと想定されるから)。
そうなると、地方では人材の確保が問題となりそうです。
審査請求期間も3か月に延長されたとはいえ、不服申立前置が縮小された以上、行政事件訴訟法と同じ6か月にすべきではないでしょうか。
このように、課題もある行政不服審査制度の改正ですが、それでも多少の前進があったのも事実です。
次回は、行政不服審査法と関連して改正された行政書士法について書きます。
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